Title.

<第1部>
間違いだらけの日本の英語教育(2)
日本人の英語力を検証

Date. 2008.09.09  /  Category. 英語マスターセミナー

前回の英語マスターセミナー内容の紹介から、
時間が空いてしまいました。
更新への熱いご希望のコメントもいただいています。
ありがとうございます。

それでは、引き続き日本人の英語力の検証に入ります。

私達は次のようなことをよく耳にします。

「英語はネイティブだけのものではない。
世界中で使われている。ヨーロッパの人々だけでなく、
アジアでも、例えば、インド人やシンガポール人も
自信を持って訛りのある英語を話しているではないか。
私達日本人ももっと自信をもって日本人英語を使うべきだ。」

正直、このような意見で欠けがちなのが、
現状認識の甘さかもしれません。
あたかも他のアジア人の英語力を自分達の英語力より低いか、
同等に考えている節が見受けらるからです。

実際のところは、インド人やシンガポール人の英語と
比較すること自体が、いささか傲慢でおこがましい事かと思います。

現状認識手段として恐らく、最も適当なのが知る人ぞ知る
TOEFLテストの結果です。

主に欧米の大学、大学院が入学審査の基準として
使用しているテストで、世界中のノン・ネイティブスピーカーが
英語力を証明するため受験しています。

現在はスピーキングテストがあるiBTと呼ばれる
第3世代になり、満点は120点です。
学校によって基準は違いますが、大学合格には70点以上、
大学院には100点以上が望まれます。

毎年、国別や母国語の言語別に平均点がテスト制作元の
ETSより発表されるので、世界レベルでの比較には、
最も適していると思います。

さて、その結果を単純にまとめると、
日本人の平均点は際立って低く、
毎年世界で最下位を競うレベルです。

iBTとなってからも既に2006年度、2007年度の2回、
国別平均点が発表されました。
ちなみに、全世界の受験者の平均が80点弱で、
過去2年それぞれ102点、103点を取ったオランダが両年とも
国別で世界トップに位置しています。

さて、日本の受験者の平均はというと、
両年度とも、65点に留まっています。
これは、世界で最も低いレベルなのです。

参考までに、お隣の韓国は、1年目が72点、2年目が77点と
世界平均点近くまで向上しています。
インドにいたっては、それぞれ91点と84点、
シンガポールはさらに上のレベルで、
両年とも100点となっています。

これだけでも、これらの国の人々の英語と日本人の英語とを、
同じ土壌で語れないのがあきらかでしょう。

私は過去2年とも、ETSがこの結果を公表した米国での会合に
参加しました。
余りに日本の平均点が低いためか、
ETSも苦しい弁護をせざるをえないようでした。

曰く、「日本の点数が際立って低く出ていますが、
これは日本人の英語力が低いということではありません。
本来大学以上の入学審査として適切なTOEFLですが、
日本では高校入試にも使われているからです。』

実際には、日本の高校入試として普通使われていない事は
皆さんご承知の通りです。
一部そのような若い受験者を含んでいるのは事実ですが、
それが、8万人以上いる日本人受験者の平均点を下げている
主因にはなりえません。

日本国内の弁明としては、『日本人は受験者が多く、
英語ができない人が多くいから。一方他国では、
一部のエリート層で英語が出来る人が受験しているため』
等々の反論がよくされます。

こちらも事実と異なる弁解です。

ほぼどんな人でも受けられる(もしくは受けさせられている)
TOEICと異なり、日本人の中でもTOEFLを受験する人は
それなりに限られた人達です。

また韓国は日本の人口の4割にしか満たないのに、
その韓国の受験者の総数のほうが、日本を上回っています。

確かに、ほぼ限られた『エリート層で英語が出来る人』のみが
受験している国も多くあるでしょう。
しかしそれは、英語はもとより、高い教育を受けている人自体が
限られている事情からです。
日本の場合、受験者は英語を含む、高等教育を受けている人達
ばかりですから、平均点の低さの弁明にはなりえません。

ここは、残念ながら日本人の英語力が
決定的に欠如していることを素直に認めるべき
なのではないでしょうか。

このように、現レベルでの『日本人英語』で満足せず、
抜本的な対策を練らなければいけないと考えるのですが、
その前にもう少し現状認識を高めるためのディスカッションを
続けたいと思います。

それでは、また次回に。


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カプラン ジャパン代表 石渡 誠
カプラン ジャパン代表
Kaplan Japan President
石渡 誠  Makoto Ishiwata
南アラバマ大学 コミュニケーション学・英語学 学士号取得。ジョージタウン大学院 英語教授法修士号 取得。帰国後、松本亨高等英語専門学校を引き継ぎ、14年間のフィニックス英語学院の教務部長を経て、カプラン ジャパン代表就任。[ More... ]