Title.

オバマ2008年民主党大会での指名受諾演説

Date. 2008.09.02  /  Category. Speech
                  
     

コロラド州で開催された、2008年民主党大会が

8月28日に終了した。

最終日のオバマ候補のスピーチは、

フットボール会場に8万人を集め屋外で行われた。

 

「この日はマーチン・ルーサーキング牧師が

『私には夢がある』という、今や伝説となった

スピーチが行われた1963年8月28日から

45年目を記念する、歴史に残る日でもあった。

にもかかわらず、キング牧師の名には触れず、

ケネディ大統領の就任演説からの引用が多かった」

 

などど、信じられない誤報を、読売新聞をはじめとする

日本のマスコミが伝えていたのには、驚かされた。

 

スピーチ中盤で何度も繰り返された、

Now is the timeというフレーズは

まさにキング牧師からの引用であり、

明らかに当時の公民権運動の歴史を振りかえ見る

演説だった。

 

キーワードとなった、promise (約束だけでなく、信義、

責任など広い意味がある)というのも、

キング牧師が使ったキーワードそのものだ。 

 

また「リンカーン記念館の前にアメリカの信条(promise)を

信じた人達が全米から集い、ジョージアの若い牧師の夢を

聞いてから45年がたつ」から始まるスピーチ締めの

クライマックス部分も、I have a dreamからの

スピーチの引用であった。

 

 さらに、全体的なスピーチの講評もなぜか日本のマスコミは、

米国での高い評価を伝えてはいない。

 

4年前の2004年民主党大会でジョンケリー大統領候補の

応援演説をしてオバマは感動的なスピーチをした。

 

そのスピーチが、全米にオバマという名を初めて知らせ、

今回の指名受諾につながることとなった。

 

このスピーチもI have a dreamと同じように、

The audacity of hope(希望という勇気)というタイトルで

将来語り告がれるであろう。

 

(ちなみにカプランジャパンでは、英語プログラム全受講生に、

年末までこの演説を覚えさせている。

発音だけでなく、構成、間のとり方、感情の込め方など含めて

『はなしの極意』を会得してもらいたいからだ。)

 

 オバマの演説力は、キング牧師の再来と噂され、

逆にその才能は、「話が上手ければ大統領が務まるのか」と

ヒラリー候補をはじめとする、他候補者からの]

標的の的になっていた。

 

そんな中、今回のスピーチは彼特有の聴取者の

心を揺さぶるemotional appeal要素をもちながらも、

全く趣の異なる演説をした。

 

日本のマスコミは、2004年の党大会以来披露されてきた

オバマ特有の演説を期待していたからか、

疑問符を投げかけるような論調が多かった。

 

一方中継したCNNはじめ米国のメディアの評価の多くが、

「敵対候補者の政策を非難しながら、

自身の政策を全て明らかにして選挙に挑むという、

『政治家がすべき演説』をした」と報じている。

そして、そのような演説としては、

「歴史上最高で、かつ完璧な演説であった」と、

最大限の賛辞を送っているのだ。

 

私個人の感想としては、45周年を記念するこのイベントに

かけたオバマのスピーチにはまさに震撼させられた。

 

実はキング牧師のI have a dreamは、

私にとっても少し大げさに言うと、人生を変えたスピーチ。

 

英語学習のため、JFKの就任演説を全て覚えたあとに

挑戦したのが、この20分間のスピーチだった。

 

それまで知らなかった公民権運動や、米国の人種問題など

について考えさせられたことが、アラバマ最南部の大学に

留学する結果につながった。

 

 スピーチを覚えてから約30年の月日が経ったが、

今でも常に声に出して練習している。

 

その見事なレトリックだけでなく、

キング牧師の全身全霊を込めたこのスピーチは、

人間の領域を超えた何かを感じさせる。

最高の芸術品とも思える。

 

たとえば、ピアノを習う者が、クラッシック音楽を練習するように、

英語を学ぶ者も、このスピーチは練習するべきだと思う。

 

またプロのピアニストがクラシックの名曲を演奏するように、

私も機会あればこのスピーチをできるようにしている。

 

話を戻すと、今回のこのオバマのスピーチを聞きながら、

あのキング牧師のスピーチと同じような衝撃をうけたのだ。

 

それは、まさしく人間が天命を受けたかのごとく、

自分自身の枠を超えた使命感と信念のもとに話している凄さに

圧倒されたからだ。

そういう意味で両氏の姿が重なって見えて鳥肌が立った。

 

ある意味、あの時のオバマ氏は、もう過去のオバマ氏ではない、

ある領域を超えた新たな人間となったこと、

まさに歴史上の使命を請け負ったことへの受諾演説をしていたか

のようにも思えたのだ。

 

これからのオバマ氏には、ますます注目である。

 

(指名受諾演説、他オバマ氏のスピーチはこちらで見れます。)

                  
  

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カプラン ジャパン代表 石渡 誠
カプラン ジャパン代表
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石渡 誠  Makoto Ishiwata
南アラバマ大学 コミュニケーション学・英語学 学士号取得。ジョージタウン大学院 英語教授法修士号 取得。帰国後、松本亨高等英語専門学校を引き継ぎ、14年間のフィニックス英語学院の教務部長を経て、カプラン ジャパン代表就任。[ More... ]
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