ついに黒人が米国大統領に選ばれました。
この歴史的瞬間を目撃したことは、
感慨深いものがあります。
しばらくブログを更新できませんでしたが、
この記念すべき時に、ある感想をちょとだけ
書き残しておきます。
それは、和訳の難しさと、もどかしさ。
もちろん、どんな場面でも訳は難しいのですが、
スピーチは特に違いが顕著になります。
これは、同じセリフでも話し方によって
全く伝わり方が違うこと、
その話された独特のニュアンスを
訳をして伝える難しさが増すからです。
以前お話したキング牧師の"I have a dream"の訳も
数々目にしていますが、残念ながら、
このスピーチの感動が伝ってくる訳は
見たことがありません。
それは、訳の上手い下手ではなく、
訳には限界があるからです。
オバマの快挙を報道するたくさんの記事に
彼の勝利宣言のスピーチを引用するものが
ありました。読んでいると特に、
彼独特のことばの響きを日本語訳で伝える
難しさを感じました。
簡単な例で、You とか We を挙げてみましょう。
これからのコメントは、訳者を非難するつもりは
毛頭ありませんのであらかじめご了承ください。
あくまで、ニュアンスを伝える難しさの例としてです。
ある記事は You を「君たち」と訳しています。
これでは、上から下へ、偉そうに話しているような
誤解を与えてしまいます。
そういえば、たしか、ルーズベルト大統領のスピーチ
だったとおもいます。 You という言葉を「汝」と訳されている
のを目にしたことがあるのも思い出しました。
そこまで古風に話していたのかというと、勿論違いますが
フォーマルな語調で整えすぎて、訳してしまったからでしょう(笑)。
さて、オバマの場合はいわば、市民目線で社会現象をとらえて、
そして同じレベルの目線で言葉を使う名手です。
くだけた普通の口調でありながら、品格を感じさせ、
心を揺さぶるような話し方をします。
ですので、「君たち」と訳し始めると「汝」と訳しているくらい
違和感を覚えたのです。
一方、ある記事では「みなさん」と訳しています。
こちらの方が原文に近いものの、それでもまだ違う感じです。
訳の難しさを感じながら、ちょっと自分なりに考えてみました。
結果はというと、「みんな」が一番しっくり来る気がしました。
例えば、"This is your victory." は
「この勝利は君たち/みなさんのものだ。」
よりも
「これは、みんなの勝利です。」
とした方がニュアンスが伝わるような気がします。
次に、Weを見ると「我々」とか「私達」と訳しています。
やはり、この訳だけではオバマの使う We と
違和感を感じるところが多くあります。
スピーチを聞きながら、、「自分達」や「僕ら」がいいのか、
いや、それもちょっとちがう、などと考えて見ました。
一番適当な訳を考えた結果、多くの場面で、
なんと you のときと同じ、「みんな」が
一番ピッタリとくるとことに気がつきました。
(意味的に I と You を分けて訳すべき時も「私達みんな」と
「みんな」を足すとよりイメージが伝わると思いました。)
これはオバマは聴衆との一体感を大切にしているからで、
You=We の語調だからでしょう。
たとえば、スローガンになった、
"Yes, we can." も
「我々/私達はできる」というより、
「みんなでやれば、できる。」
のほうがしっくりくる気がしました。
以上簡単な考察でしたが、やはり原語には、かないません。
私の訳では、言葉が平易すぎる感もあります。
これも、抑揚のつけ方次第なのですが、
おそらく紙面では伝え切れません。
英語で直接意味を理解、感じられるように指導するほうが、
訳を考えるより、はるかに易しく感じられました。
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