Title.

水の所有権

Date. 2009.09.25  /  Category. 英語プラスアルファ
                  
     

昨日に続きまして、橋本淳司氏著の
「世界が水を奪い合う日、日本が水を奪われる日」
からの問題定義を抜粋していきます。

この本のタイトルにある「水の奪い合い」は
すでに始まっているであろうことは、
私達にも安易に想像はつきます。

特にペットボトル水市場。ボトル水の需要が
急激な速度で世界中に広まっているわけですから。

でも、その結果どのような問題が起きているか、
いくつかの例を読んでいて私は深いショックを受けました。

以下に本書80~84ページから抜粋して転載します。
========================

企業は世界各地で良質の地下水が湧き出る水源を買っています。井戸を掘るために土地を買い上げ、水を汲み、そして水が枯渇したら他に移動します。まるで石油採掘のようです。

(中略)

たとえば、コカ・コーラ社がインドのケーララ州で、水をペットボトルに詰める工場を稼動させていますが、その取水量は一日当たり100万~150万リットルと大規模で、州内の村では日常的に水不足に陥るようになりました。

工場の進出で地下水が枯渇し、水質も悪化したと抗議しましたが、コカ・コーラ社は「工場で使う地下水は、村の井戸とは水脈が違う。訴えは事実無根」といいます。

インドでは都市部を中心に慢性的な水不足が続き、蛇口から水が出るのは一日に一時間ほど。それなのに(中略)。。。

似たような問題は世界各地で起きています。

アメリカの例をいくつか紹介しましょう。ミシガン州の過疎地で、ネスレ社系列の企業が大地主と地下水を食いあげる契約を結んだところ、住民が地域全体の地下水の枯渇や生態系への影響を心配し、工場建設の中止を求める訴訟を起こしました。

フロリダ州にゼフィイルという清冽な水が湧き出す場所があります。数年前、ここの所有者が大手飲料メーカーと販売契約を結び、メーカーは一日数十万リットルの水をくみ上げ、地主には約2万ドルが支払われました。

水源周辺に住む人々はそれまで自由に利用できた水が独占された事に腹を立てましたが、問題はもっと深刻でした。

大量の水をくみ上げたため、下流域で水不足や地盤沈下といった被害が出たのです。住民は企業に抗議し、すぐに汲み上げを中止するように求めましたが、企業は地下水の汲み上げと、下流域での水不足や地盤沈下との関係はないと主張しています。

五大湖の周辺では、企業が大量の水を汲み上げた結果、水不足が発生し、地元の農家や漁師の生活を脅かしています。

彼らは汲み上げ中止を求めていますが、地主と企業は相手にしていません。法的にいえば、地下水は土地に付属する動産で「土地所有者=水所有者」ということになるし、被害と水の汲み上げとの因果関係を証明する事はかなり難しいのです。

本書の冒頭で、中国を中心とした外国企業が日本の水源地を狙っているという話をしましたが、これを規制する法律は全くありません。森林法では民有林の売買に関する規制はなく、所有者は自分の山林を自由に売買できます。

国土利用計画法では、一ヘクタール以上の土地(都市計画区域外)の売買であれば都道府県知事への届出が必要ですが、一ヘクタール未満の土地については届出義務がなく、誰が水源地を買ったのかも分かりません。また、山間部については、地下水を汲み上げる量にも制限がありません。
=======================
皆さん、どう思われました?

私にはここだけのくだりでも、ショッキングでした。

1.ボトル水のために、地元の人達の貴重な水源を
枯らしてしまっていることがある

2.水質を悪化させて水源を枯らすだけでなく、
生態系や地盤沈下まで起こす可能性がある

3.農家や漁師など、ボトル水のために仕事に必要な
水源まで奪われている人達もいる

4.水の所有権を得る事が安価なこと。フロリダ州
ゼフィイルの例にある2万ドルは日本円にして200万
にも満たない額です。

5.水は他の土地から流れ、流れていくものなのに、
土地を買えば、水の所有権が得られる事の不思議。

6.そして特に日本で、水の所有権に関しての法律の
不備というか、脇の甘さ。

日本は水資源が豊富だと安心していられる時代では
なさそうです。

モラルと法律の整備、そして私達の水への関心度と
教育の向上が早急に必要だと感じます。

私達が知るべきことに関しては、
次回以降にもう少しお話させてもらいますね。

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石渡 誠  Makoto Ishiwata
南アラバマ大学 コミュニケーション学・英語学 学士号取得。ジョージタウン大学院 英語教授法修士号 取得。帰国後、松本亨高等英語専門学校を引き継ぎ、14年間のフィニックス英語学院の教務部長を経て、カプラン ジャパン代表就任。[ More... ]
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