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そうかなと思いましたが、私が話しかけた人はやはりアレイタス博士の息子さんでした。まだいろいろな人が博士と話している時に、"Daddy"と言って私も声をおかけするチャンスを作ってくれたのです。
車椅子に座り体の不自由そうな博士。となりに案内されて私はまずこのように会話を始めました。
"Dr. Alatis, I am so happy to see you here. I don't believe you remember me at all, but I went to Georgetown and got an MAT in TESOL."
すると、とても小さいかすれた声で、でも笑顔で"Oh, congratulations."と答えてくれました。
思い出していただけないだろうと思いつつも、私はこう続けました。 "It was about 20 years ago, and I also worked in the Japanese language department as an instructor, so you were once my boss."
日本語学科は言語学部に属していたので、少しユーモアを込めてこのように言ったのです。"Is that so?"と相槌を打たれながら、博士は私が誰だか思い出そうするかのように、私の顔をのぞきこんまれました。
そこで私は、"And you know what? I still can't believe this but you were once my classmate too. You were in my first class at Georgetown."と言いました。するとその時です!
博士は、にっこりと微笑んだかと思ったら、"Summer Program!"と言って私の手を握られました。
もの凄く嬉しかったです。やはり学生と方を並べて授業に出たのは、博士にしてもすぐに思い出せるくらい、特別な体験だったんだなと感じました。
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そして、私があの時に博士からとても貴重な学ぶ姿勢や、人に接する態度を学んだ事を感謝を込めてお話することができました。
さらに最終日の夜に開かれたパーティでも、忘れられない思い出ができました。
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会場内に、ご家族でテーブルを囲み食事をしている博士の姿がありました。そしてやはりたくさんの人達が、博士に挨拶されていたのです。
私はまず息子さんにご挨拶をしました。すると彼の声は、博士以上に小さなかすれていました。大会中、ずっと父親に付き添いながら、恐らく何千という人達と話ていたからでしょう。
しゃがれた小さな声で私が聞いたのは、、、
「実は、父の病状はとても悪くなっている。いつどうなるかもわからない。そしてもしその日がきてしまった時、お悔やみの言葉は欲しくない。そうではなくて、感謝の言葉を集めて本にしたい。父を感謝してくれている人達の声を父に届けたい。だからあなたにも連絡するときは宜しくお願いしたい。」
そういうと彼は、わざわざ椅子を他からとってきて、博士の隣に私の席を設けてくれたのです。
85歳になっていた博士は、明らかに体が弱っていてお辛そうでした。しかし博士に話しかけてくる他の人達の幸せのほうを気にされていました。
私にも繰り返し、"I hope we didn't harm you." とおっしゃったのです。
これは「ジョージタウンにいたことが君の人生にとって少しでも役に立っていればいいのだが」ということを、博士らしい相手に敬意を払ったへりくだった、しかも少しウィットに富んだ言い方だと私は解釈しました。
そして私が現在どうしているかを気にかけてくれ、説明すると「素晴らしい。それは良かった。」と嬉しそうに聞いてくれました。
博士と何十年も苦楽をともにしていらした方達が大勢いらっしゃる中、長い間隣の席にいることに私は恐縮して感謝の言葉をもう一度述べて立ち上がりました。
すると博士は握手をしてこうおっしゃってくれたのです。
"I was really happy to see you again. Thank you. It was very kind of you to come and talk to me, MAKOTO."
"MAKOTO"と私の名前を最後に言ってくれたのです。まさか名前まで思い出してくれたのだろうか?と一瞬本当に驚きました。
実は私の名前は言ってなかったからです。顔を思い出してくれただけで十分すぎるほど嬉しかったので。
もしかしたら、名刺を渡してある息子さんが伝えてくれていたのか。
いや、おそらくそうではなく、首からぶら下げているネームプレートを読まれたのだろうとも思いました。でも一度もプレートのほうを見たような気配はありませんでしたが。
真実はわかりません。でも、あまりに博士特有のあの親しみをこめた、あの懐かしい抑揚で "MAKOTO" と言ってくれた時、22年前の夏学期での博士との思い出が瞬時に蘇ってきたのでした。
本当に貴重な出会いと体験をさせていただいたこと、改めて感謝の気持ちで一杯になりながら。そしてこのような再会をさせてもらえただけでも、今回ボストンまで行って良かったと思えたのでした。
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