Title.

優秀な学習ツールへの憂いと期待

Date. 2010.05.01  /  Category. お勧め学習サイト・教材英語上達への秘訣
                  
     

最近はネットを中心に、安価で便利な英語学習教材やオンライン学習ツールが増えてきています。今後もこのブログでは、私がお勧めしたいものを随時ご紹介していきたいと思っています。

しかし教材やツールの効果を最大限に高められるかどうかは、学習者の心構えに関わってきます。当り前のことなのですが、ツールの向上により、このことが更に重要性を増していると思います。

さて、前回より間隔があいてしまいましたが、その一例として、今日もEnglishCentralさんを取り上げたいと思います。更新が遅れてしまった言い訳をしますと、ここから書きたいことは、結構私の思いが強いことだからです。

言い換えれば、皆さんの学習にとって、大切なことだと思うので、中途半端でなく、しっかりと時間を取って書きたかったのです。それで、GW初日(私の場合)の今日となりました。

ということで、少し長い記事になると思います。できれば最後までお付き合いいただければ嬉しいです(次回更新がまた遅れるかもしれませんから、数日間に分けて読んでいただいても構いませんから(笑))

さてさて、EnglishCentralさんは、ここまでご紹介してきた通りの素晴らしい機能を持った学習サイトです。

私も学生の時にこのようなサイトで学習できていたら、どんなに幸せだっただろうなどと考えてしまうくらいです。これから勉強する人は、ぜひ活用するべきツールのひとつだと思っています。

しかし同時に危惧するところもあります。それは便利すぎることからくる、1)学習量の減少と2)学習の誤解を生み出す可能性です。

そこで今日は1)学習量の減少の可能性についてお話します。

ただ最初にお断りしておきたいのは、私はこのようなツールにより学習量が増えることに期待をしています。

矛盾するようですが、個人的には積極的に考えつつも、あくまで危惧することを書いていきます。このようなツールを最大限活用できるように、その参考にしてもらうためのお話です。

まずEnglishCentralの魅力は、ありとあらゆる最新のビデオが学習教材として用意されていることです。
English Central home.jpg

そして、すぐその場で再生して見ることが出来るばかりでなく、字幕も日英両方出てきます。またフレーズ毎に何度でも繰り返しスピードまで変えて聞くことができます。

さらに、カーソルを合わせるだけで、単語の発音や意味、そしてその定義での他の文例まで見ることができます。そして、全てのことが瞬時にできるのです。

そして、文章をリピートする自分の英語を録音、再生できるだけでなく、発音の間違った部分まで指摘を受けて点数の表示までしてくれるのです。

本当に至れり尽くせりのサービスですよね。

さて、それなのに私が何を危惧しているのか?

分り易く説明するために、例として私が英語を真剣に学び始めた30年前と比較していきますね。私と同じ時代に勉強された方なら皆さん似たような学習体験をされていることと思います。

当時はまずビデオ教材などありませんでした。なにしろビデオテープレコーダーというものですら、市場に出始めたくらいの時だったかと思います。

唯一頼りに出来たのがテープレコーダーです。はじめはラジカセに相当お世話になりました。勉強を始めて2年目にウォークマンが登場した時には、そのハンディさと恰好の良さに心を躍らせたものです。
初代ウォークマン.jpg

話が横道にそれましたが、カセットテープ教材が主流な時代でした。EnglishCentralで選べるような『生の英語が聞ける教材』は限られた数しかありません。まず手に入れたものは、全て大切に、端から端まで学習しました。

また、市場に出たての高価なVCRを購入。これに洋画や向こうのテレビ番組(2ヶ国語放送が始まったのも丁度この頃でした)を録画しただけでなく、自分でテープレコーダーに接続してテープにも録音しました。

いわば教材を自分で時間をかけて作ったわけです。たとえば、そのようにして「刑事コロンボ」なども自分にとっては最高の教材になると思い、ワクワクしながら録音したものです。

そのように録音したものは、通学途中などで何度も繰り返して聞いて、分らない部分などは録画したビデオを見直して勉強しました。日本語で見直すとヒントになることはあるものの、結構原文と違うセリフになっていて、とにかくひたすら英語を聞きなおしてチェックしました。

そしてどうしても聞き取れない部分はディクテーションをしました。それを先生方にテープを聞いてもらいながら直してもらいました(英語字幕などは勿論なく、スクリプトですら手に入りませんでしたから)。

当然の事ながら、分らない単語やフレーズは全て自分で調べなければいけませんでした。ですので、常にどこにいても英々辞典を側に置いておきました。

そして本当にセリフを覚えてしまうくらい何度も聞いていました。実は5年前に引越しをする時に、当時ためていた大量のテープを処分したのですが、名残惜しく、ゴミ袋に捨てる前に1本1本ちょっとだけ聞き直しました。

自分でも驚いた事に、ランダムにパッと再生されたセリフを覚えていただけでなく、次にどんなセリフがくるかも頭の中で浮かんできていたのです。昔懐かしい歌の歌詞が思い出していけるような感覚でした。そう、歌詞のように、セリフは記憶していましたから、当然といえば当然なのですが。

またスクリプトが手に入ったテープ教材は、徹底的に読み合わせをしました。私の基本的なやり方はカラオケ方式といいますか、テープを聴きながら同じスピード、抑揚で声に出していくものです(シャドーイングよりもオーバーラッピングということです)。

これをすると結構きついのです。なかなか同じようには言えません。鉛筆をもちながら、音の上がり下がりや連結、そして変化していることなど、自分で気がつきところは全てマークして、またそのマークを修正しながら、全神経を集中させながらモデルのような話し方を真似ていきました。

フレーズごとに丁寧に、そして徹底的に練習を繰り返していきました。キュッキュッと音を立てさせながら、リピートボタンを巧みに操作していくわけです。繰り返したい部分だけを操作するのも、なかなか難しく、巻き戻しすぎたり、巻き足りなかったりして、少しイライラしながらも。

本当に何度も何度も聞き取れるまで繰り返しました。そのあまりの負担にテープを回すためのベルト(時代を感じますが)が伸びたり、切れたりしてしまいました。お陰でテープレコーダーの寿命は大変短く、何度も何台も買い換える必要がありました。

そんな学習をしながら、ある程度自分の読みに満足がいくと声を録音してみました。まずは教材に合わせてオーバーラッピングしている声を、もう一台のテープレコーダーで録音しました。それを聞きなおすことで、自分の英語とモデルの英語の違いを再チェックするためです。

その後、自分ひとりでの読みも録音してチェックします。モデルの声と重なっていると上手く聞こえていても、自分だけの英語を聞くと駄目な部分が嫌というほど分るからです。

またスピードや間合いなども特に同じになるように学習をしたものは、1台はモデルの英語、1台は私の録音した英語を右手と左手で同時に再生ボタンを押して、ズレがあるかチェックをしました。ただこれは、テープレコーダーによって回転数スピードが微妙に異なっていたので結構やっかいではありましたが(苦笑)。

そんな、こんなで、教材そのものを手に入れるところから、自分の声を再生して聞きなおすところまで、多大な努力と時間が必要とされていました。

それと比較すれば、EnglishCentralさんのような学習ツールはいかに便利なことか言うまでもありません。

お話したように、私のような時代ならば、いろいろな生の教材を手にして、自分の声を録音してチェックするところまで学習することは、それはそれは大変なことだったのです。恐らく私のようにマニアックなまでに英語に取り組む構えがないと出来ない事だったでしょう。

それがですね、どうですか皆さん。今日の優秀なツールを使えば、そのような全ての煩わしさが取り外されているだけでなく、やるべき学習要素の全てが用意されているのです。

特にEnglishCentralさんの場合は、単語の意味が和訳ではなく、全て英語だけで出てきてくれること、そしてそのセリフで使われた定義に沿った、とても生きた例文まで、全て瞬時に見れることが個人的に大いに買っているところでもあります。
English Central word.jpg

とにかく、昔私などが苦労して、たくさんの時間をかけながら、試行錯誤の上にやっと出来た事が、瞬時に出来てしまう。これは、今の学習者にとっては最大のアドバンテージにほかなりません。

テープ教材つくりから必要だった、学習そのもの以外で取られていた時間が、そのまま学習に費やせるのですから。

ですので、私の期待は大きいのです。と、同時に、私が不安をもつ理由も、ここまで読まれた皆さんにはお察しいただけることと思います。

何事にもいえますが、苦労して手に入れたものは大切にします。しかし、あまりに簡単に手に入れられるものは、その価値すらわからないかもしれません。

学習の質とともに量も向上させることが可能な時代だからこそ、あえて提言したいのです。

簡単に全て手に入るからといって、適当に使っている限りでは、昔の人達の学習量にすら追いつかないですよと。

そうではなく、徹底的に学習に打ち込む構えでEnglishCentralさんのようなツールにも臨んで欲しいと。練習するビデオの英文は、全て自分のものにする構えで臨んで欲しいのです。

そうすれば、ひと昔前の何10分の1の時間だけで学習ができるわけです。どなたにでも、当時の私がこなしたような学習量も達成可能ですし、効率的に早く英語力の向上も期待できるのです。

以上が、1)学習量の減少への私の危惧でした。

次回は 2)学習の誤解を生み出す可能性についてお話をしますが、これはこのような学習ツールだけでは、学習が完成されないということです。

逆にいえば、今日のツールの役割の明確化、そしてその上でツールも最大限に生かしながら、今までにない最大級の英語学習効果を生み出すためのお話をしたいと思っています。

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

                  
  

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カプラン ジャパン代表 石渡 誠
カプラン ジャパン代表
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石渡 誠  Makoto Ishiwata
南アラバマ大学 コミュニケーション学・英語学 学士号取得。ジョージタウン大学院 英語教授法修士号 取得。帰国後、松本亨高等英語専門学校を引き継ぎ、14年間のフィニックス英語学院の教務部長を経て、カプラン ジャパン代表就任。[ More... ]
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